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Mentor’s Eye 照沼 大氏 メッセージ

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 ■第7回「視座を高めて、メガ・スタートアップを目指そう!」                   [2013/12/16メルマガ配信]
 日本ベンチャーキャピタル株式会社
  執行役員 ベンチャーキャピタリスト 照沼 大 氏
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 当リレーコラムは、スタートアップの現場や経営に精通した名うてのメンター 陣の金言が揃い、私自身多くの学びを得ています。今般、一文書かせて頂くに 当たり、最近現場で無意識に感じていることを、私なりに言語化してみようと 思います。やや突飛な面もあろうかと思いますが、拙文にご興味持って頂ける 部分が少しでもあれば、望外の喜びです。

1.【スタートアップの気概と志】

 私がベンチャーキャピタル(VC)に入った直後、同業の先達とお酒を飲んでいて言われたのが、「ベンチャー企業とは、会社規模が小さくても日本初とか世界 一とかの技術・製品・サービスを生み出す!、といった気概と志がある会社の ことだ」、ということでした。今で言うところの「メガ・ベンチャー(メガ・ スタートアップ)を目指すべし!」、と言ったところかと思います。

 起業家も VCも、共にメガ・スタートアップを創り上げたいと多くの人が思っていると思います。実際、VC同士や起業家とお酒を飲んでいると、そのような話で盛り上 がったりします。 一方、Google、facebook、Amazonのようなメガ・スタートア ップは、日本からは生まれないのでは、と言う向きも少なくありません。

 以前、 別のコラムに「米国発メガ・スタートアップは、取り組もうとしているテーマ 設定が大きく、これは解決しようとする社会的課題の大きさを反映しており、 ミッションやビジョンに表現されている」という趣旨のことを書かせて頂いた ことがあります。実際ミッション・ビジョン(・バリュー)や経営理念、経営 哲学などを策定している会社の方が、何も制定していない会社より、総じて業 績が良いという研究結果もあるようです。

  昨今のスタートアップは、ミッショ ン・ビジョンを策定している会社が殆どです。ただ、業績に有意な差があるとしたら、策定する際にもっと考え抜き、更に折に触れ見直し磨き上げると、も っと業績に好影響が上がるのではないか、という考え方も成り立ちます。

 実際、 その概念を昇華させ、企業活動を通じて実現したい「社会ビジョン」を策定している、当NICTのICTメンター・香田さんの(株)アカツキ http://aktsk.jp/company/ のような会社もあります。素晴らしい取組みだと思 います。

  いずれにしても、古今東西、良く言われるように明文化する効果はやはり高そうです。「言霊の幸ふ国」(ことだまの
さきわうくに)と万葉集にも詠 われた日本は、もっとそうかもしれません。

 かつて1000万円だった株式会社設 立時の最低資本金規制が、この10年で完全に撤廃されるなど、日本は格段に起 業しやすくなりました。1円の資本金でも会社が作れるようになり、起業時に 親戚や友人の間を走り回って資金を掻き集める必要がなくなりましたが、全体 的にスケール感が小さくなったと言う人も増えています。是非、ビジョン・ミ ッションの視座を高め、世界的メガ・ベンチャーを目指す礎を築いて頂ければ、 と思います。

2.【いかに視座を高めるか】

 少し前のことですが、海外駐在経験の長い証券会社の元社長の方が「日本の企 業経営者も、欧米の経営者も、持っている能力は大きく変わらないと思うが、 教養には差を感じることがあった。今の日本の基礎教育で哲学や教養教育など が行われないのは残念だ」と仰っていました。

 その時ふと思い出したのは、私 が尊敬している方々(経営者か否かや、老若男女問わず)は、最新の経営書だけ でなく、昔の名著や古典も含め、かなりの読書量を誇っていることでした。彼 らの会話は多彩でありながら奇を衒ったところはなく、本質的なものを見抜く 目やリーダーとしての見識を感じていました。

 また同時に、自分の今の性格、 特に自分の価値観や正義感などは、中学・高校・大学時代に読んだ本にかなり 影響されていることに気付きました(自分はそれほど多読家ではないので、威 張ったことは言えないのですが)。

  昨今の起業家も読書家が多く、最新の経営 書や成功した起業家の本を読破している方は多いですが、それに加え、名著や 古典にも親しむべきかもしれません。時代を超えて通底する普遍性のある価値 観や哲学を知ることは、ビジョン・ミッションなど経営理念を策定する際の確 固たるベースになってくれるのではないかと思います。

  また、起業家が誰も取 組まなかった課題解決にチャレンジする“職種”であるとしたら、世の中の流 れにも敏感であるべきなのは論を待たないと思いますが、誰もやったことのな いことをやる訳なので、悩みや迷いが多いのも事実です。そんな時も、ここで 培ったベースは戻れる土のようなものになると思います。

3.【社会的問題を解決するのは起業家】

 世の中を見渡せば、解決されていない社会的問題・課題は多くあります。世界 では、まだまだ貧困や難病に苦しむ方々が多いのが実情です。我が日本でも、 世界史上、類のない速度で少子高齢化が進行しており、また震災復興、原発事 故関連、来るべき地震や災害に対する備え、エネルギーや食糧の課題など、決 して安閑としていられない課題があります。

 こうしてみると、起業家としても 投資家としても、やらなければならないことが沢山あるなー、と感じると思い ます。とは言え、これらの問題を一挙に解決する方法論は、勿論ありません。あればもう解決してますよね(笑)。

 一人の人間、一つの会社が出来ることは限 られていますが、大きな問題から小さな問題をブレークダウンする「着眼大局・ 着手小局」のスタートアップの手法は、社会的問題の解決にとても有効だと思 います。

 着実に実績を作り、かつ大きな課題を解決するという気概と志が常に 念頭にあれば、より大きな経営資源を託され、飛躍できるタイミングを手に入 れることが出来るのではないか、と申し上げたいと思います。

 私もVCという仕事を通じて、起業家の皆様が新しい事業を生む出すお手伝いを することで、若年層の雇用が
増え、収入が向上し、結婚・出産が増大し、少子 化打破に繋がればと、かなり本気で考えております。

 我々投資家も起業家の皆さんと努力を積み重ね、見識を上げて行きたいと思っ ております。

共に歩んで参りましょう。

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