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Mentor’s Eye 伊藤 健吾氏 メッセージ

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 ■第3回「ベンチャーエコシステムの構築を目指して」                    [2013/08/19メルマガ配信]
 MOVIDA JAPAN株式会社
 Chief Accelerator 伊藤 健吾氏
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1.【ベンチャーエコシステムとは】

 「2030年までにシリコンバレーを越えるようなベンチャーエコシステムを東アジアに作る!」
僕らはこのビジョンの実現を目指してスタートアップ支援事業に取り組んでいます。1000社のBig Impactを起こすスタートアップを育成することによって、1社あたり100人の雇用が生み出されれば10万人の雇用を創り出すことができ、1社あたり100万人のユーザーに価値を提供することができれば10億人に価値を提供することができ、これによって世の中が良い方向に進むことに貢献しようというのがミッションで、これを実現するためのビジョンです。
 

 米国で昨年成立した通称JOBS Act(Jumpstart Our Business Startup Act)の背景にも、新規産業が雇用を作り出していて、既存産業はむしろリストラにより雇用を減らし続けているので、スタートアップがより飛躍しやすくなるようにということがあったそうです。日本においても雇用を増やしているのは開業10年以下の事業所であるという統計データもあり、新規産業がどんどん生まれ出てくるような環境を作ることが経済活性化や雇用創出に意義あるものとなるのは疑いないものと思います。

 エコシステムといったときに僕らはよく「肥沃な土地と森林」で説明しています。豊かな土地に種が落ち、そこから芽が出て成長していき木になり、林になり、やがて森になる。更には花が咲けば虫が飛んできて花粉を受粉し、その結果として実がなってそれを食べた鳥がフンと一緒に種を落とす。枯れた木も役割を終えれば土に還って次の種のための養分になっていきます。エコシステムというのはつまりは循環システムであるといえます。
 
 ベンチャーエコシステムにおいては種というのがビジネスアイデアであり、そのアイデアを実現する起業家と言ってもよいでしょう。創業直後には様々なものが足りていませんが、事業立ち上げに必要となるリソースを調達するための資金や具体的に立ち上げるためのアドバイスなどを提供する支援者(エンジェルやベンチャーキャピタルなど)のネットワークが水や肥料をあげる役割を果たすことになり、その結果として成長して花を咲かせたり、実をつけることになるわけです。
 もちろんビジネスを大きく成長させるためには森林のエコシステムにおける虫や鳥のような媒介者となるようなプレイヤーも存在しています。シリコンバレーの場合はIPOやM&Aといった成功したときのExitイベントの規模も大きいため、創業者だけでなく一般従業員もストックオプションでお金持ちになり、これを元手として自分のアイデアで起業したり、エンジェル投資家として投資したりしています。一方で上手くいかなかった場合も、「失敗」ではなく「経験」として高く評価され、急成長するチームにJOINするなどしてより強いチームとなっていきます。
 

 このように「人」と「お金」が循環するシステムになっているところがまさにエコシステムであり、シリコンバレーは50年程度の歴史の中で成功した起業家が次世代を支援することで豊かなエコシステムを創り上げてきています。

2. 【シリコンバレーに学ぶ】

 シリコンバレーでは過去10年間の平均で年間約17,000社の創業があり、合併なども含めて年間約12,000社が廃業するそうで、それでも差引で年間約4,000〜5,000の会社が生まれているそうです。成功の確率は千に三つと言われたりしますが、企業の20年生存率も0.3%なのでこのくらいの確率なのかもしれません。確率が低ければ母数そのものが大きくなければ件数を増やすことは難しく、シリコンバレーのエコシステムはたくさんのスタートアップが生み出され続けているからこそ、成功が見込まれる会社が数多く生み出され、循環システムを支えているのだと思います。
 

 また、過去30年間の傾向値としてベンチャーキャピタルが投資した企業のExitはIPOではなくM&Aが主流になってきており、古くはIBM、HP、CISCOなどが、最近ではGoogleやfacebookなどが積極的に若い企業を買収しています。若い企業が更に若い企業を買収することで成長することを目指しており、成長戦略の中にM&Aが組み込まれています。IPOだけではないExitが存在していることもシリコンバレーのエコシステムを豊かにしている要因だと考えています。

3.【MOVIDA JAPANの取り組み】

 このようなエコシステムを東京/日本あるいは東アジアに構築していくためには何をすべきかということですが、僕らはまず出来ることとして起業家の数を増やすことを目標とし、起業家支援のSeed Acceleration Programを立ち上げました。2011年8月に発表して以来、現在までに300チーム以上からの応募を受付、その中から実際に投資を行った30チームを含めて100チーム以上がProgramの一部であるMOVIDA SCHOOLに参加しています。
 

 MOVIDA SCHOOLは起業家がお互いで切磋琢磨できるコミュニティとなるよう始めたもので、毎週先輩起業家や各種プロフェッショナルの方に来ていただき経験談やノウハウについてお話いただき、その後はフリーディナーを提供して起業家同士がネットワーク出来るようになっています。切磋琢磨の場としては6月よりProgram採択企業を入居させるシェアオフィスMOVIDA The Startup DOJOも開始、採択企業同士が密にコミュニケーションをすることでお互いの事業のスピードが加速していくという相乗効果が出てきています。
 

 また投資先と事業会社の新規ビジネス担当やベンチャーキャピタルなどとのビジネスマッチングの場としてMOVIDA Demo Dayを開催し、投資先の株式会社trippieceは第1回のイベントで株式会社オプトとの業務資本提携につながるなどの実績も出ています。
 

 僕たちの活動はまだ緒についたばかりですが、日本だけでなくアジアのスタートアップシーンをどんどん盛り上げていきたいです。

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