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Mentor’s Eye 庄子 素史氏 メッセージ

 
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 ■第6回「東南アジアにおけるベンチャーの成長機会~第1回:シンガポールもベンチャー企業~」
                                                    [ 2013/11/18メルマガ配信]
 CROSSCOOP SINGAPORE PTE.LTD
 Managing Director 庄子 素史氏 
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CROSSCOOP SINGAPOREの庄子です。
常夏のシンガポールより、こんにちは!
私は2011年よりシンガポールに移住し、現在はCROSSCOOPというインキュベーションオフィスを拠点に、日本のベンチャー企業がシンガポールを活用して東南アジア市場を開拓するお手伝いをしております。今回はNICTメンターとして、本コラムをご覧頂いている方々に、地域・機能統括拠点としてベンチャーにも脚光を浴びているシンガポールや、著しい市場成長によって中間層が爆発的に増加しているインドネシア、ベトナム、タイ、フィリピンなどの市場機会について、全5回にて現場感をたっぷりとお伝え出来ればと思います。第1回目は私の住んでいるシンガポールについて書いてみます。シンガポールは1965年に建国された東京23区ほどの国土しかない共和制国家で人口は540万人しかいません。歴史が浅いため、観光客を誘致できる歴史的建造物や景勝地はほとんどありません。そして、何と言っても国土が狭いことに加え山と呼べる起伏がないため、エネルギーや鉱産物は採掘できず、そして水資源すら元々は保有していなかったマラリアが蔓延する湿地帯、それが元来のシンガポールでした。それが今や世界中のグローバル企業のアジア・パシフィック本社が登記され、多くの外資系投資会社やファンドマネージャーが活躍し、1人あたりの名目GDPでは、約52,000ドルとなり(第2位は日本で約46,700ドル)、アジアでは最も豊かな国と言っても過言ではありません。また、マスターカードの2012年に発表によると、ロンドン、パリ、バンコクに次いで、世界で4番目に外国人が多く訪問する都市でもあります。私は、このシンガポールが国として非常に新しく、資源・資産に乏しく、無いモノ尽くしの状態からアジアNo1の国家まで成長した奇跡は、ベンチャー企業の成長軌跡に相通じるものがあると考えています。では、シンガポールが着目した自国の強みとは?

赤道直下というアジアの中心地、生産拠点である東南アジアと東アジア、中東やヨーロッパ、オーストラリアとの東西の貿易の拠点となるマラッカ海峡の要衝というポジショニング。ベンチャーでいうところの競合とのポジショニングマップ、選択と集中、そして重点テーマ(KPI)の設計と施策への投資というフェーズと同じスタートアップです。

1.【貨物と人が集まる仕組み】

アジア最大の通商条約ネットワーク&ワンストップ物流ハブ
チャンギ国際空港は約60か国、約200都市、週6,000便以上の運航で24時間稼働の世界最高水準を誇り、旅客・貨物(170万トン貨物量)ともに高い利便性を提供しています。LCC(低価格航空会社)は24時間稼働して、4時間圏内にインドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピンなどに往復で5,000~15,000円の範囲で往復ができます。また、航空貨物センターは24時間運用でペーパーレス、200以上の船舶会社を通じて120か国600港と接続しており、年間2,700万TEUを超えるコンテナがシンガポールが積みだされています。

2.【企業と人が集まる仕組み】

効果的な税制度
40%前後の日本に対して17%のシンガポールの法人税。また、新規進出企業には、更に税制優遇があるため、最初の数年間は実効税率で10~12%程度の法人税になります。日本と単純比較しても税引き後で30%近い利益率に差が出ます。また、法人税だけではなく、経済開発庁、国際企業庁などのシンガポール政府組織が、シンガポールへの企業誘致や第三国への輸出に対して、インセンティブを与えています。勿論、全ての企業に対してのインセンティブではありませんが、特殊な技術や研究開発、コンテンツなどの知的財産から派生するロイヤリティ収入、オフショアトレードをからめた輸出入のハブとしての統括業務などがあります。このような国家をあげての法人誘致に加え、優秀な経営者や起業家、技術者、研究者を誘致するために個人の所得税なども累進課税ではありますが、最大20%と低く設定されております。

3.【情報とコンテンツが集まる仕組み】

情報通信マスタープラン(iN2015:Intelligent Nation 2015)でインフラ・ネットワーク強化
シンガポールの情報技術産業は、ITを早期に導入したこともあり、世界経済フォーラムの「世界情報技術レポート2010/2011」 で最もネットワーク対応の優れている国の世界2位、アジア1位に選ばれております。2015年に向けたマスタープランと次世代高速技術を使用する新ネットワークの展開により、シンガポールのインフラは益々強化されていきます。更に、この安定したインフラに加え、知的財産の保護制度やグローバルなエンジニア獲得に向けたインセンティブなども強化されており、インターネットサービスだけではなく、ソフトウェアなどの知的財産が関係する分野の企業では、本社機能や研究開発、製品開発をシンガポールで行い、ここから世界市場へソリューションを展開する体制を構築しています。

このように、ベンチャーとして成長したシンガポール。次回は急成長したシンガポールならではのビジネスチャンスについて寄稿いたします。第2回は、”シンガポールにおけるITを活用した生産性向上”について触れて参ります。

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 ■号外「東南アジアにおけるベンチャーの成長機会~第2回:シンガポールのITを活用した生産性向上」
                                                    [ 2013/12/02メルマガ配信]
 CROSSCOOP SINGAPORE PTE.LTD
 Managing Director 庄子 素史氏 
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CROSSCOOP SINGAPOREの庄子です。
今回はシンガポールにおけるIT産業の事業機会について触れてみたいと思います。
シンガポールのIT産業は、400社が加盟するSingapore infocomm Technology Federation (SiTF)という業界団体と、許認可やサポート機能の政府組織Infocomm Development Authority of Singapore(IDS)が中核にあります。
シンガポールは前回述べた通りに、金融や物流のハブとして機能しているため、そのバックエンドを司るITソリューションには目を見張るものがあります。その為、ASEANのバリューチェーンをカバーするシンガポールにIT企業が誘致されたのは必然とも言えます。更に、シンガポールは非常に強い知的財産保護の政策を採択しているため、シンガポールにおける最先端のIT技術を最三国へ事例や技術ごと輸出する際の利益の保護が可能です。また、あまり知られていませんが、シンガポールは地震や台風、津波などの自然災害がありませんので、データセンターの需要も多くあります。

シンガポールは、海底ケーブルの最大容量67Tbpsを誇り、東南アジアにおけるデータセンターのスペースの50%以上を擁する世界的なデータ管理ハブです。

一方で、飲食業などのサービス業におけるIT化は遅れており、未だに多くの飲食店で手書きのオーダー表を見かけます。日本であれば、タブレットで注文を受け付け、注文ごとに最もお客様を待たせない順番のレシピがキッチンに表示される仕組みすらあります。また、日本は益々全自動化に向かっており、券売機での精算、券売機と厨房をシステムで接続することで自動的にオーダーが伝達される仕組みも、日常的な光景となりました。しかしながら、シンガポールでは飲食業やサービス業のステイタスは決して高いものではないため、IT化が遅れており労働集約的にサービスを提供しています。シンガポールほどの経済大国でも、サービス業においては予約が取れていなかったり、オーダーから提供まで物凄く待たされたり、頼んだものが来なかったり、頼んでいないものが請求されたりと、非常に効率が悪いのが実体で、この分野においてITを活用した生産性やサービス品質の向上は大きな需要があると感じています。(実際にシンガポール政府も、サービス業の生産性の向上などには注力しています。)

また、下記のデータをご覧頂きたいのですが、

2007 年のシンガポール情報通信産業の収益は、前年比13.8% 増の517 億シンガポールドル(約4兆円)。2010 年は、前年比12.2% 増の703 億シンガポールドルと収益拡大中です。530万人しかいない小国で、意外に大きな市場が形成されています。その中で、ハードウェア部門が55%と最も貢献しており、ソフトウェア (17%) と IT サービス(12%) が後に続いております。

やはり、シンガポールの性質上、ハードウェア部門が主力ではありますが、近年ではソフトウェアも盛んになっております。

ソフトウェア・サービスの上位100 社のうち、80 社以上がシンガポールに拠点を置いています。また、上位15 社のソフトウェア企業が、シンガポールに地域本社またはアジア太平洋本社を構えています。

先ほどの知的財産保護の政策もソフトウェア企業を誘致する要因になっていますが、もう一つは税制が関係しています。例えば最近、増加傾向にあるのがソーシャルゲームのグローバル知的財産権のシンガポール集積です。日本市場向けのコンテンツは、日本国内で企画され、国内もしくは海外のオフショアで開発して、日本からApp StoreやAndroid Marketに申請し、日本にあるサーバーから配信して役務を提供し、課金されたものは日本法人が売上計上していると思います。

では、日本で製作し、日本から配信してインドネシアのユーザーから課金されたコンテンツの収入はどうでしょうか。日本から配信している場合は、日本で売上計上となります。今や、App storeやAndoroid Marketでの販売、コンテンツ課金は国境を越えて多くの国籍の方にリーチし、多くの国の消費者に購入されます。もっと言えば、売上を計上する基準が非常に曖昧になっており、世界的にも各国間の税収を綱引きする上でデリケートな問題となっています。このような背景から、日本以外の地域で販売するコンテンツ収入を、法人税が低いだけではなく、知的財産に対して積極的にインセンティブを提供しているシンガポールに集めるという案が浮上します。では、どのようにすれば世界中のユーザーからの課金収入や知的財産に関する収入をシンガポールの収入として認められるのでしょうか。完璧に法整備がされている訳ではないのでケースバイケースな部分は否めませんが、

  1. シンガポールに法人がある
  2. シンガポールでグローバル市場向け知的財産(コンテンツ)の企画や開発指示・管理をしている(実際の開発はオフショアでも可)
  3. グローバル向けコンテンツの知的財産をシンガポールで登録しており、プラットフォームへシンガポール法人が申請している(競争源泉の所在の明確化)
  4. それらの企画・開発管理、申請、収益管理業務を、シンガポール法人がスタッフを雇用し、バーチャルではないオフィスで遂行している(実態の有無)
  5. コンテンツを配信するサーバーがシンガポールにある(役務の提供)

全てが必要条件ではありませんが、上記の体制を構築することで、Down Loadされた国に左右されずにシンガポールのプロダクトとしてシンガポール法人での収入とできる可能性が高いと思われます。
 
 このようにIT産業においては、ハードウェア中心のシンガポールに思われがちですが、コンテンツやその他のITサービス業においては、売上計上国にシンガポールを指定する動きがあるため、益々、シンガポールにソフトウェア部門の集積が促進されると見ています。

第3回は、”東南アジアにおけるマッチングビジネス”について寄稿したいと思います。

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 ■号外「東南アジアにおけるベンチャーの成長機会~第3回:東南アジアのマッチングビジネス考~
                                                     [2014/01/06メルマガ配信]
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 Managing Director 庄子 素史氏 
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CROSSCOOP SINGAPOREの庄子です。
今回は東南アジアにおけるマッチングビジネスについて書いてみたいと思います。
先ず、マッチングと聞いてイメージしやすいのは男女間のマッチング。所謂、デーティングサイトや結婚相談所です。
日本以上の少子化問題を抱えるシンガポールは出会い系サイトについては厳しい規制がありますが、既に複数の事業者が存在しております。しかしながら、シンガポールは政府が、SDU(社会開発局)という政府機関を組成し、そこが主体となってパーティーや出会いの企画をしており、政府組織が強いシンガポールらしい取組みと言えるでしょう。
タイも徐々に若者が減少している傾向にあり、いずれは少子化の問題の直面することが人口統計的に判明しています。発展途上の東南アジアでも、成長していく過程で女性の社会進出、晩婚化が訪れ、そこで男女のマッチングがクローズアップされます。日系では、結婚情報サービスで有名なツバイがタイに進出しました。現在はタイ駐在の日本人を対象にしているようですが、将来はタイ人向けにもサービスを開始するかも知れません。
しかし、シンガポールを除き平均年齢が20代の東南アジアにおいて、男女間のマッチングは依然としてリアルな世界で起きていて、まだまだバーチャルな出会いが主流になるには時間がかかりそうです。

視点を変えますが、フィリピンでは800万人を超すOFW(Oversea Filipino Worker)と呼ばれる海外労働者がフィリピンに送金する金額がGDPの約10%を占有しています。全体の海外からの送金額は2005年には100億ドル(約1兆円)を超え、現在は200億ドル近くなっております。1人あたりの送金額は月間130ドル程度となり、130ドルという金額は、フィリピンの1家族を養うことが出来る金額で、家族から1人OFWを輩出すれば一家安泰となります。ここで仮に1名のOFWが家族4名を養っているとすると、3,200万人(フィリピン人口:約9,600万人)もの人々がOFWで養われている計算になります。これらがフィリピン経済を底支えしています。OFWの職業は主に飲食店のダンサーやメイド、医療・福祉施設、船乗り、建設現場が多いのですが、問題は送金方法にあります。
通常の振込みには、銀行口座の開設が必要で、なかなか勤務国で銀行口座を保有しているOFWが少ないこと、最近でこそソフトバンク・ペイメントなどが400円台から送金できるゲートウェイを提供していますが、EMS(Express Mail Service)での郵送も含め全般的に送金額に対して実に10~30%もの送金手数料(平均1万3千円の送金に対して、数千円のコストがかかる)がかかることから、地下ルートでの送金(現金キャリー)も多いようです。

このような問題点に対するビジネスチャンスとして、金融ライセンスを必要としないECサービスが挙げられます。例えば、OFWがECサイトにてポイントを購入し、サイト運営者は購入したポイントに対して数%の特典を付与し、そのポイントを使ってフィリピンの家族は消費財や食品を購入します。OFWの送金の大半は、消費財と食品に費やされていることは各機関の報告で明らかになっています。
これまでOFWは高い手数料を支払って本国の家族に送金していたのが、このビジネスモデルだと逆にポイントが付与されて家族により多くの物資を供給することが可能になります。但し、フィリピンは多くの島国で構成されているため、ECサイトで購入された商品をデリバリーする手段の確保が非常に困難であることを付け加えねばなりません。(安価な移動手段は多くあるため、物流拠点まで取りに来てもらうセルフデリバリーという考えも面白いかも知れませんが)

このように東南アジアにおけるマッチングビジネスの可能性は男女間だけではなく家族間にも及び、インターネットを活用して諸問題を解決できるサービスが待ち望まれています。

第4回は、”インドネシアの大渋滞に見る事業機会と題して寄稿したいと思います。

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 ■号外「東南アジアにおけるベンチャーの成長機会~第4回:ジャカルタの大渋滞に見る事業機会~
                                                     [2014/05/07メルマガ配信]
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 Managing Director 庄子 素史氏 
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CROSSCOOP SINGAPOREの庄子です。
今回は東南アジアにおける生産性の向上に関するビジネスチャンスについて書いてみます。
私は仕事柄、多くのアジアの国を訪れることがありますが、その中でもインドネシアの首都ジャカルタの渋滞は想像を絶するものがあります。通常、10分で移動できる距離が運悪く渋滞にはまると、1時間ほど車から降りられないこともありますし、空いていれば空港から中心部まで30~40分で着くはずが、時間帯や天候次第では3時間かかったという実態も起きています。
これは単純に道路インフラの整備状況に対して、車やバイクの量が多い、ということに起因し、公共交通機関の発達が問題解決になる訳ですが(実際にジャカルタは地下鉄の工事がようやく開始しました)、私達ビジネスパーソンにとって時間を有効に使えないのは非常に残念です。
例えば、BtoBで商材を販売する特性の企業の場合、売上を構成する要素に訪問件数というものがKPI(Key Performance Indicators)として設定できるかと思います。しかし、ジャカルタではこの訪問件数は1日3件から良くて4件が限度です。日本ではどうでしょうか?
交通インフラが整備されていないことは、営業だけを切り出してもこれだけの非効率な状況を生み出しており、ましてや物流機能においても死活問題です。

一方で、この大渋滞をマイナスと捉えればそれまでですが、実際、渋滞にはまっている方の動向を見ますと、スマートデバイスをいじるか、オフラインのラップトップで仕事をしている方が大半です。
そこで、渋滞にはまった時だけに接続できるWiFiサービスや、渋滞を予測して最適なアポイントメントを組み立ててくれる営業支援ツールなどはニーズがあると感じます。また、専属ドライバーを抱えている駐在員も多いのですが、ドライバーの習熟度に差があるため、良いドライバー(道を覚える、良く行く場所を覚えている、時間を守るなど)にあたるまで、ひたすらに採用を繰り返している方もおり、技術の力でドライバーをサポートするサービスもあると良いですね。

このように非効率な場面(日本と比較して)は東南アジアにおいても多々あり、先進国のシンガポールでも雨の日や通勤・帰宅時にはタクシーがつかまらない、という生産性の低いことが良く発生します。
シンガポールではタクシーをアプリで呼べますが、需要のピーク時にはアプリからの接続が困難になり、結局、何十分もタクシースタンドで待つことになります。タクシーの需要についても、アプリへの接続状況、乗降者データ、タクシーの配車状況のビッグデータを解析すれば、曜日や天候、時間に応じた配車の最適解を導きだすことが出来るはずですが、残念ながら空車が目立つ時もあれば、全くつかまらない時もあるという状況が実態です。

東南アジアで生活することで、日本では感じたことがない非効率、低生産性の出来事に多々直面します。その際に単に不便だと感じるか、ビジネスチャンスと捉えるかだけでも、起業家としてのアンテナに差が出るのではないでしょうか?
良く、何故、誰もやらないのでしょうか?という質問を受けますが、やり方を知らない、それ自体が不便だと感じていない、ベンチマークを知らないなど、基本的な知識不足で問題解決に取り組めていないケースも多くあります。
こんな基本的な問題に対して、誰も取り組んでいないなんて・・・と決めつけないで、自分が不都合を感じた際に、ビジネスに置き換えられないか、と常に考えることで、東南アジアにおける事業機会との出会いは格段に広がるはずです。

第5回は、東南アジアで日本の存在感を上げるには?と題して寄稿したいと思います。

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■号外「東南アジアにおけるベンチャーの成長機会~第5回:東南アジアで日本の存在感を上げる~
                                                     [2014/06/30メルマガ配信]
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CROSSCOOP SINGAPOREの庄子です。
最終回の今回は東南アジアで日本の存在感を上げると題して、東南アジアで日本のものがどのように流通し、何が競合になっているのかを書いてみたいと思います。
皆さんはスーパーで和牛を買いたいと思った時に、「和牛」と書かれていれば迷うこともなく、あとは産地だけを気にするのではないでしょうか?山形産とか・・・。
しかしながら、東南アジアで和牛、すなわち WAGYUと書かれている牛肉は生鮮コーナーに置いてありますが、 WAGYU表示でも日本産とオーストラリア産では2~3倍近い価格差があります。日本ではOGビーフとして有名な豪産牛肉ですが、東南アジアでは日本の畜産家から米国経由で和牛の種を授受した豪州人が、豪州の広大な土地で和牛を飼育して、WAGYUとして海外に売り出しているのです。
残念ながら日本産よりも豪州産のWAGYUの方が、早くから海外に販路を見出していたために取扱高が大きいのが現状です。
同じようなものとして、米があります。シンガポールなどで見かける日本米は、こしひかりやひとめぼれ、とか書かれていますが、多くはタイやベトナム産です。日本産は1.5~2倍近い値段で隣で売られています。現地の方にとっては安い日本米(正確にはジャポニカ米)で十分であり、最高品質ではなくても十分に日本の米に満足しています。
この背景には、ここでは詳しくは書きませんが、関税の問題や農水省による特殊法人保護の政策の影響があります。
さて、ジャパンブランドというのは、海外の企業にも使われてしまっているように、品質にお墨付きを与えるに十分なブランド力があります。
私達には当たり前になってしまっている品質が、東南アジアなどの新興国では絶大な信頼を寄せられる訳です。
これらの問題は、この信頼関係を私達が、国に縛られていることで頭が硬直化し、海外の消費者が求めるレベルの品質や価格で提供できていない、そういう流通・販売網を海外勢よりも先に構築してこなかった、という点に起因します。
これから海外で起業したいと考えている方、日本から海外進出を検討されている方に、私が声を大きくしてお伝えしたいことは、

(1)日本品質で海外の消費者やユーザー水準であっても妥協できない要素は何か。
   →例えば、豪州産和牛なら日本産よりも味は落ちますが、霜降りが妥協していない要素
(2)残りの品質や過剰な要素や機能を削り落として生産・提供するために最適な生産国はどこか。
   →最高品質や過剰機能に縛られなければ、他にも最適な生産や製造、販売拠点があるはず
(3)それらを見極めるには対象国に数回視察してリサーチをするだけではな く、居住する覚悟が必要。

こういう適正な価値、適正な価格、適正な流通という全体像の中で、ジャパンブランドを大いに活用することが、最終的に市場における日本の存在感を高めることにつながると感じています。

最後になりましたが、他にも東南アジアでチャンスがありそうな市場があるので、以下に羅列したいと思います。

  • 豊かになりたい若者が多くいる東南アジアにおけるクラウドソーシングビジネス。
  • 経済が伸び盛りの中で最も消費に回されるのは飲食やエンタメ。そこにフォーカスしたメディアやSNS。
  • 日本よりもWiFi天国と言ってもインフラが脆弱で使えない環境が多いので、ネット接続の補完機能。
  • これからクレジットカードやデビットカードを保有する消費者が増加するので金融決裁サービス。
  • 中間層の増加と共に消費市場が拡大し、若年層を対象にしたEコマース。
  • シンガポールや香港などに出稼ぎに出ている労働者向けの送金サービス。
  • 東南アジアで製造したものを日本でEコマースで販売する流れ。

他にもありますが、それはまた皆様とどこかでお会いした時に、話に花を咲かせましょう!
それでは、人生マイノリティとして生きる喜びと自由を噛みしめて。

【以下、海外で起業したい方に、是非、お越し頂きたいイベントのご案内】
若者、ベンチャーよ、アジアのウミガメとなれ!
~アジアの熱量を疑似体験『セカ就&アジア進出セミナー』~
http://www2.venture.nict.go.jp/grant/content1375.html

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