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Mentor’s Eye 西田 隆一氏 メッセージ

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 ■第8回「スタートアップはもっとうまくメディアとつきあおう」                 [2014/01/20メルマガ配信]
 B Dash Ventures 株式会社
 シニア・インベストメントマネージャー 西田 隆一 氏 
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起業家にとって役に立つ話ができるとすれば、自分がこれまでニュースメディアの運営に関わってきた経験から、い
かにメディアと起業家が関係を築くかという話が適任なのかもしれない。これまでさまざまな起業家たちを見てきた
が、メディアとの関係をうまく築けている人たちも中にはいるが、そうでない人も多数いて、せっかくの機会を損失し
ているケースもある。なので、僕からはスタートアップがどうすればメディアに取り上げてもらえるかの方法について
簡単にアドバイスしよう。

■マーケティングの一貫と位置づける

たぶん、大きな会社であれば、新しいマス向けの製品やサービスなどを投入する際には、記者発表を開催して、たく
さんのメディア関係者たちを呼んで、その製品なりサービスを報道してもらうことに尽力するだろう。そうして、そのタ
イミングでテレビCMだとかそのほかの広告なんかも仕掛ける。製品を世間に対してリリースするタイミングで、一斉
に世の中で話題になるように手はずを整えておくというわけだ。

このような大仕掛はスタートアップの場合、すでに潤沢な資金を事前に調達していなければ到底実現できないが、考
え方として、このスタンスは大事だ。

というのも、多くのスタートアップ経営者は製品やサービスのリリースが近づいた1週間前ほどに、プレスリリースを
作ってプレスリリース配信サービスに流せばよいと思っているからだ。

しかし、そのタイミングではすでにメディアに取り上げてもらうには遅いし、そもそもメディアへの露出をマーケティング
の一貫として捉えておらず不十分だと思う。

製品が世にでるタイミングでどのように世間に知らしめるかというマーケティングプランは、事前にあらかじめ計画し
ておくべきだろう。もし、そこでメディアに取り上げてもらったほうがいいと判断しているならば、確実に取り上げてもら
えるように手はずを整えておくほうがいい。

■メディアは重要な営業先の1つ

そこで重要となるのは、取り上げてほしいと思っているメディアに直接、事前に接しておくことだ。メディアも「重要な営
業先」と考えることが必要だ。

スタートアップ企業にとって、製品をつくり上げることは一大事で、リリースまでこぎつけるのが精一杯かもしれない
が、その製品がビジネスとして周り始めるには、ユーザーを獲得したり、提携先を確保したりといった努力をするだ
ろう。メディアに自分たちを取り上げてもらうのも、こういった営業活動と同じだ。その視点を忘れずにメディアに接す
ることだ。

これに対して、プレスリリース配信サービスだけで手を打つのは、大きな成果は期待できない。なぜなら、メディア
側の人間は一斉配信のプレスリリースを毎日大量に受け取っていて、見逃してしまう可能性があるからだ。

必要な行動は自分が取り上げてほしいと思っているメディアやそれに携わる人に、事前に「直接」連絡をするという
ことだ。

もちろん、見知らぬ人から直接の連絡をいやがるメディア側の人物もいるだろう。それはそれで仕方がないが、相手
は人間だ。起業家の熱意に対して好意的に見てくれる場合もある。誠意を持って、(準備期間を確保してもらうため
に)なるべく早いタイミングでそういった人物にコンタクトする必要がある。

ここで、直接コンタクトする手段なんかないじゃないかと思わないでほしい。どうしてもやりとりしなければならない
営業先であれば、あの手この手でコンタクトするのを試みるのと同じだ。

交流のチャンスがあるイベントなどで直接メディア側の人物に出会ったり、よく知る人から人づてで紹介してもらった
りすることが一番の近道ではあるが、いまではソーシャルメディアもある。とにかくメールでも電話でもいい。
確実なのは実際に会って話をするだが、とにかく相手と直接コミュニケーションすることがもっとも大事なことだ。

■取り上げてもらうためのストーリー

ところで、メディアに取り上げてもらうためには、どのような内容が適しているのだろうか。

もし製品やサービス自体が飛び抜けて画期的で誰もが理解できるものであれば(かつ、役にたったり、驚きを提供
したりするならなお)、その製品についてメディアが取り上げない理由はない。もちろん大手マスコミが取り上げるか
はその製品の性質や業界やマーケットサイズなどさまざまな理由からはわからないが、少なくともスタートアップや
新しい製品に興味を持つメディアであれば取り上げてくれるだろう。

したがって、当たり前なのだが、素晴らしい製品なりサービスを作り上げるというのがもっとも重要なことではある。
だが、たいていはひとりよがりの自己満足的な内容で情報をメディアに提供しようとするのが普通だ。そこを振り
返ってみてほしい。

大事なのはストーリーだ。その製品やサービスをなぜ作ったのかといった経緯、あるいは起業家がどんな人物な
のかといった背景など、魅力あるストーリーがあれば、大きく見方も変わる。

製品自体だけでは魅力が乏しければ、その製品を提供するにいたった背景にあるストーリーも十分、記事として
取り上げてもらえるケースもある。単純に機能やスペック、ビジネス概要だけを並べるだけではなく、興味を持っても
らえるストーリーを考えておくのは重要なことだ。

■タイミングをつくろう

メディアに取り上げてもらうには、タイミングも重要だ。

たとえば、新製品のリリースというのは、メディア側にとってニュース価値があり、とりあげやすいタイミングだ。
しかし、製品やサービスの性質上、ステルスモードでユーザーに利用してもらって、ある程度、製品の完成度を高め
るほうがよかったり、単なる新しもの好きで実際のターゲットユーザーとは異なるイノベーターのようなユーザーに
サービスを荒らしてほしくなかったりするケースもある。

こういった場合は、新製品のリリースタイミング以外でメディアに取り上げてもらうことを考えたほうがいいだろう。
もちろん、口酸っぱくて申し訳ないが、素晴らしい製品やサービスであれば、広まっていくうちに、メディアは取り上
げてくれる。でも、そうでなければ、メディア側の人間が取り上げやすいニュース価値を持つ話題を自ら生み出す
べきだろう。

それは、たとえば、ユーザーが10万を突破しただとか、大きな提携先が決まっただとか、新しく機能追加したバー
ジョンの製品をリリースするだとかいったことだ。メディアの人間は常に取り上げる話題を探している。うまく話題作
りのきっかけが作れるのであれば、のタイミングでメディアにアプローチすべきだ。

■どこで取り上げてもらうのか

メディアと一口にいっても、テレビなどのマスメディアもあれば、ブログサイトのような小さなメディアもある。

スタートアップが始めるビジネスは当初は大きなマスメディアは気にもしないかもしれない。しかし、だからといって、
製品とは大きく関係しないメディアに手当たり次第にアプローチするのも非効率だ。結局は製品が誰に対して提供
するものかで、取り上げてほしいと思うメディアは変わってくる。メディアであればなんでも取り上げてもらおうと思
わずに、製品やサービスのターゲットとなるメディアに焦点を絞ることが大事だ。

ただ、このとき、ユーザーを獲得するためだけにメディアに露出することを考えずに、場合によっては取引先を見
つけるためにメディアに取り上げてもらうだとか、あるいは有力サイトに記事とともにリンクを張ってもらってSEO
効果を得るなど副次的な意味でも効果があることを念頭においておきたい。

■とはいえ

とはいえ、これだけ頑張ってもメディアに取り上げてもらえないことはなくもない。そもそもスタートアップが始める
事業に対しては、多くの人が興味を持ってくれないこともある。だからといって諦めないでほしい。その代わりユ
ーザーには誠実に向き合うことだ。

そのためにも自らブログやソーシャルメディアでの精力的な情報の提供も意味がないわけではない。

結局はユーザーがそういった情報を見て理解してくれることが大事だからだ。ユーザーが増えれば、そのうち
話題にもなるし、そうなれば、当然、メディアの人たちも近づいてくる。

今回のアドバイスは小さなヒントでしかないが、メディアとの関係の中でうまく情報を扱うことで、スタートアップ
の人たちが成功することを願っている。

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