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株式会社 エクスメディオ  代表取締役 物部 真一郎 氏  <平成26年度 起業家万博 発表企業>

専門医による遠隔診断で誤診を抑制!非皮膚科専門医支援アプリ「ヒフミル君」

 

1. 初めに
2. 【医師による医師のための遠隔医療支援サービス】
3. 【大学在学中に起業、ビジネスの面白さに開眼】
4. 【医療の現場で見出した課題】
5. 【スタンフォード大へ留学、MBAを取得】
6. 【日本は起業家に有利な国】
7. 【実際に悪性腫瘍が見つかったケースも】
8. 【収益モデルの確立を目指して】
9. 【眼科診断支援「メミルちゃん」もスタート】
   企業プロフィール

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1. 初めに

  医師不足が深刻化する中、特に地方の過疎地域では近隣に専門医がいないため、医師が自身の専門以外の疾患を診療せざるを得ないケースが増えています。しかし専門外の科に関わる疾患の診断に不安を抱く医師も少なくありません。特に皮膚疾患は診断が難しく、海外の調査では非皮膚科専門医による誤診が全体の50%にも上るとされています。この問題を解決するツールとして注目を集めているのが、株式会社エクスメディオの非皮膚科医専門医支援サービス「ヒフミル君」です。今回は同社の代表取締役社長で精神科医でもある物部真一郎さんにヒフミル君の概要と今後の事業展望について伺いました。
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2. 【医師による医師のための遠隔医療支援サービス】

  ヒフミル君は皮膚疾患を皮膚科医が遠隔画像診断する、医師向けの無料オンラインサービスです。サービスの仕組みはいたってシンプル。まず、PCで使う場合はウェブサイトで利用者登録を、スマホやiPadで使う場合は専用アプリをダウンロードした上で利用者登録をします。その上で患者情報を入力、患部の画像をアップロードして必要事項を入力すると、24時間以内に皮膚科専門医から返信があり、アドバイスを受けることができるというもの。「アドバイスをする専門医は全て皮膚科医歴5年以上の経験豊富な医師のみなので、質の高いアドバイスを受けることができます。2015年3月のリリース以来、院内に皮膚科が併設されていない病院の先生方、近隣に皮膚科医のいない地域の病院の非皮膚科医の先生方に評価していただき、現在数千人規模のユーザーを獲得しています」と物部さん。自身も精神科医であるという物部さんが起業し、ヒフミル君開発に至った背景にはどのような事情があったのでしょうか。

 

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3. 【大学在学中に起業、ビジネスの面白さに開眼】

  物部さんは1983年京都府生まれ。京都市内の私立高校卒業後、「漠然と憧れていた」という精神科医を目指し、高知大学医学部に進学。高知は物部さんにとって非常に住みやすい土地で、すぐに高知での生活になじんだのだそうです。
 ところが物部さんにも1つだけ、高知での生活で不満に思うことがありました。「生活費の足しにバイトをしていたのですが、時給がすごく安いんですよ。当時は飲食店で皿洗いのバイトをしても1時間600円ほど。1日働いてもたかが知れているので、だったら自分で何かビジネスをやったほうが効率的なんじゃないかと思い、在学中に会社を設立。高知県内の飲食店などを紹介するタウン情報誌を制作、ピーク時には約3万部を出していました。同時に知り合いの病院の広報誌も制作。今にして思うと、サークル感覚の会社ではありましたが、ビジネスの楽しさを味わうことができましたし、何より自分にもビジネスを通じて人にインパクトを与えることができるんだということがわかって、自分という人間に少しは自信が持てるようになったと思います」と物部さん。
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4. 【医療の現場で見出した課題】

  ビジネスの面白さに目覚めた物部さんでしたが、卒業後は予定どおり医療の世界へ。憧れだった精神科医として三重県内にある高齢者の精神疾患に特化した病院で働き始めました。
「病院での仕事は楽しくて、365日病院にいても飽きないくらいでした。でも、同時に様々な葛藤もありました。その1つが、自分の専門外の疾患についての診療に自信が持てないことでした。精神科といっても、患者さんが患っているのは、精神疾患だけではないのです。目にトラブルを抱えていたり、骨折したり、長期間入院しているうちに皮膚疾患が現れたり…。でも院内に皮膚科医や眼科医はいないので、精神科医の僕たちが診療せざるをえません。中でも皮膚疾患は非専門医にとっては診断が非常に難しく、薬選びにすら頭を悩ますような状況。もちろん必要に応じて転院など適切な措置を取りますが、転院は病院にも患者さんご本人にも大きな負担となります。そもそも、転院が必要なのかどうかの判断にも自信が持てませんでした」。
 同時に物部さんには1つの迷いが生じていました。「精神科医の仕事は大好きでしたが、今のままの働き方では、病院のあるエリア内の人にしかインパクトを与えられないことにもどかしさを感じるようになってしまって…。高知で会社をやっていたときのように、もっとたくさんの人にインパクトを与えられる働き方はないだろうかとと考えるようになりました」。

 

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5. 【スタンフォード大へ留学、MBAを取得】

  「医療を通じて、より多くの人にインパクトを与える働き方がしたい…」、悩んだ末に物部さんが出した結論、それは医療とビジネスの融合でした。「大学時代に起業経験があるとはいえ、当時はまだサークル感覚でした。一度、ビジネスについてしっかり勉強して、その上で医師である自分だからこそできることをみつけようと思ったのです」。そして医師となってから5年後に物部さんが下した決断は、留学。2013年、病院勤務を辞めて渡米、スタンフォード大学のビジネススクールで学び始めました。
「スタンフォードでの生活は、すごく刺激的で毎日が学びの連続。留学先にスタンフォードを選んでよかったと心から思っています。まず、嬉しかったのは周囲に起業家やその卵がたくさんいて、起業のための基礎知識やノウハウをごく自然に学ぶことができたこと。キャンパスでその気になれば著名な起業家に接するチャンスもあって、僕自身、当時考えていたビジネスモデルについて著名な起業家に説明する機会を得、いろいろなアドバイスを受けることができました。それに世界中から集まった優秀な学生たちにもすごく刺激を受け、起業する際の仲間を得ることができたことにも感謝しています。そして1番の収穫は、自分に自信をもてるようになったこと。渡米前はビジネスマンとしてはもちろん、精神科医としても自分自身に今一つ自信を持てずにいました。でもスタンフォードで著名な起業家や教授、優秀なクラスメイトとビジネスについて語り合い、時には議論する経験を重ねているうちに、彼らと普通にわたりあえるようになった自分に気づいたんです。なんだ、自分にもやればできるんじゃないかって、気づいたんですね。これはとても大きな自信に繋がりました」。
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6. 【日本は起業家に有利な国】

  物部さんは留学によって、もう1つ大きな気付きを得たと言います。それは日本が、起業家にとって有利な条件が揃った国だということ。「起業が盛んなので、アメリカは日本よりも起業家に有利な条件が整っていると思う方が多いようですが、僕の実感ではこれは誤解です。アメリカは起業が多いだけにレベルの高いライバルが多く、投資家からの資金を獲得するのも非常に難しいです。国や地方自治体が起業コンテストを開催して入賞者をサポートしてくれることも日本ほど多くありません。投資を受ける際の要件も、アメリカに比べてむしろ日本の方が緩いように感じます。僕自身は日本の医療に貢献したいという目標があったので、初めから日本での起業しか考えていませんでしたが、仮に医療以外のビジネスで起業するにしても、やはりアメリカではなく日本での起業を選ぶと思います」という物部さん、実際に帰国後は大学時代を過ごした高知県に本社を構えました。「高知に本社を置いた理由はいくつかあります。まずは高知が大好きだから。それに高知には大学の先輩・後輩を初め医師の友人が多く、そのネットワークを活用したいと思ったからです。そして高知県が抱える『病院が多く医療費が高いのに、平均寿命が延びない』という問題の解消に、少しでも貢献したいという気持ちを強くもっているからでもあります」。

 

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7. 【実際に悪性腫瘍が見つかったケースも】

  2015年3月にリリースした「ヒフミル君」は、スマホで患部の画像を送るだけで24時間以内に皮膚科専門医のアドバイスが受けられる…という手軽さが受けて順調にユーザー数を伸ばし、現在では数千人のユーザーを獲得しています。「最もよく活用していただいているのは、内科の先生です。実際に、ある内科の先生が自身の患者さんの皮膚疾患についてヒフミル君経由で専門医に相談したところ、悪性の疑いが強い腫瘍の発見に至ったケースも報告されています。そして予想以上に大きかったのは、在宅医療の先生方からの反響です。患者さんの自宅に出向き、基本的には1人で診療に当たる先生方にとってヒフミル君は、大きな助けとなっているようです。また、医師だけでなく、看護師の方々にもご好評をいただいています。医師の指揮のもとで、患部の画像を撮影したり患者情報を入力したりする操作を行うことで、診療への参加意識が高まり、モチベーションがあがったという声、患者さんに症状を上手く伝えられるようになったという声を寄せていただきました」とのこと。
 「ヒフミル君にできるのはあくまでも診断のアドバイスです。実際に処置や転院の判断をするのは、あくまでも現場の先生であってヒフミル君ではありません。でもヒフミル君経由で専門医にアドバイスを受けることで、誤診や治療の遅れが減れば、患者さんにとってのメリットも病院にとってのメリットも非常に大きいはず。すでに導入メリットのエビデンスが蓄積されつつあるので、それらを紹介することによって、さらなる普及を図っていきたいと思います」。
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8. 【収益モデルの確立を目指して】

  現在、エクスメディオでは、ヒフミル君のサービスを無料で提供していますが、今後は有料化して、収益モデルを確立することを目指しています。「日本では高齢者の約7割が皮膚疾患を持っているといわれています。今後、高齢化が進めば進むほど、その数は増えていくはずですから、ヒフミル君のような診断アプリの需要もますます高まってくるはずです。全国に30万人いる医師の半数にあたる15万人を医師ユーザーとして、全国8,000の病院のうち5,000病院を病院ユーザーとして、また10万の診療所のうち3万を診療所ユーザーとして獲得できれば、診断アプリの市場規模は100億円に上ると予想されます。この市場でのシェアをいかに早く拡大するかが、目下の課題です」と物部さん。

 

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9. 【眼科診断支援「メミルちゃん」もスタート】

  2015年10月には、眼科領域の専門医による診断支援サービス「メミルちゃん」の提供もスタート。使用方法はヒフミル君とほぼ同じ。皮膚科と同じく専門医の数が限られていることもあって、ヒフミル君同様、順調にユーザー数を伸ばしているそうです。「眼科疾患も皮膚科同様、高齢者に多く見られ、非専門医には診断が難しいケースが多いので、メミルちゃんの果たせる役割は大きいはず。また、眼科も皮膚科も患者さんのQOL(生活の質)を大きく作用する領域です。ヒフミル君やメミルちゃんの活用によって患者さんの不快感や不安を取り除き、より快適で健康な生活を送っていただけるように、今後もサービスのブラッシュアップを続けていきたいと思います」。

 

 
 

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◆ 平成26年度 起業家万博  (情報通信ベンチャー・ビジネスプラン発表会)
   開催報告  http://www.venture.nict.go.jp/unpaku2014/report
受賞模様映像  http://www.nict.go.jp/video/banpaku-2014-interview-01.html
 

 
企業プロフィール
 

 
株式会社 エクスメディオ

 
概要

 
2014年12月年創業
 
ミッション「テクノロジーの力により健康寿命を向上させる」

 
主な業務内容
インターネット等のネットワークシステムを利用した
医療支援ソフトウェア・ITサービスの企画・研究・開発
 

 
窓口・情報
 

 
URL:https://exmedio.io/
 

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