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フォーケル株式会社 代表取締役  山崎 一也 氏  <平成26年度 起業家万博 発表企業>

長野をIoT産業の集積地に!実証実験環境の整備で、1歩進んだIoTビジネスの実現を目指す

 

1. 初めに
2. 【本社は人口4900人余りの小さな村】
3. 【大学時代にベンチャー企業の代表を経験】
4. 【地元に「企業城下町」を作りたい!】
5. 【アイディアの原点は、製造装置の動作監視・遠隔操作システム】
6. 【IoTビジネスの実証実験環境を提供】
7. 【Interop 出展を機に新たなステージへ】
8. 【機械学習と連携する事業分野への参入も視野に】
9. 【事業パートナを募集中】

   企業プロフィール

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1. 初めに

 新しい概念として話題のIoT(モノのインターネット)。すでに様々な構想が生まれ、幅広い分野でIoT事業に参入する企業が増えています。しかし、IoT事業には一定規模の環境整備が必要なため、それがハードルとなって、事業参入に踏み切れない企業も多いのが現状です。この問題に着目したのが、今回紹介する株式会社フォーケルです。IoTビジネスの実証実験環境を整備することによって、IoT参入のハードルを下げると同時に、地元長野県の経済活性化を図るというビジネスモデルを打ち出したフォーケル代表取締役社長の山崎一也さんに事業計画の内容と今後の展望を聞きました。
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2. 【本社は人口4900人余りの小さな村】

 長野県の北部、新潟県境にほど近い人口4900人余りの小さな村・木島平村。フォーケル株式会社の創業者で代表取締役の山崎一也さんは、この村で生まれ育ち、同社の本社も村内に置いています。「IT系のビジネスは、インターネットさえあれば基本的にあまり場所を選びません。もちろん資金調達のしやすさなど、都市部の企業に比べて不利な部分もありますが、それを補って余りあるメリットが長野にはあります。それに少子高齢化が進み、典型的な過疎地となってしまった木島平を少しでも活気づけたいという想いもあって、ここに本社を置くことに決めました」と山崎さん。山崎さんが起業を志したのは、高校生の頃だったそうです。「同じ長野県内で創業し、グローバル企業に成長したエプソン(現セイコーエプソン)の創業ストーリーを読んで感動し、いつか自分もこんな会社を創ってみたいと思うようになりました」。

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3. 【大学時代にベンチャー企業の代表を経験】

  高校卒業後は同じ長野県内の信州大学へ進学。学部は全国でも信州大学にしかない繊維学部を選択しました。「繊維学部というと、一見、保守的な印象があるかもしれませんが、実はとても新進気鋭な雰囲気に満ちた学部なんですよ。学部内には、最先端の設備を使って実用レベルの工業製品の試作ができるファイバーイノベーション・インキュベータ施設もあって、起業を志す学生には最適の環境が整っています」と山崎さん。実際、山崎さん自身も大学~大学院修了までの約3年間、学内ベンチャー企業の代表を経験したそうです。同社ではCMSを用いたWEBサイトやアプリケーションの開発、ECサイトの運営サポートに従事。同社は「第4回キャンパスベンチャーグランプリ東京」の情報通信部門で優秀賞を受賞、2009年には信州大学学長功労賞も受賞しました。そして大学院修了後、大手銀行や地元の法人での勤務を経て創業したのがフォーケル株式会社でした。「前職での仕事もすごくやりがいがあって楽しかったのですが、やはり起業家として地元長野を盛り上げるような仕事に賭けてみたいという想いが強く、起業を決意しました。社名のフォーケルは、長野の方言で『ほける』(=草木が繁茂する様子を表す言葉)をもじったもの。ビジネスを成功させ、地元の経済成長に貢献したいという願いを込めて名付けました」。
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4. 【地元に「企業城下町」を作りたい!】

 創業にあたって、山崎さんがアドバイスやサポートを受けたのが、長野県の産業政策課による創業支援事業でした。この事業は長野県内でIT関連の事業を行おうとする若者への支援を目的に始まったもので、審査に受かれば、最長半年間、上田市内のコワーキングスペースや住居を無料で利用できるほか、アルバイトや受注先の紹介を受けることができます。
「起業家仲間や県の担当者、県内の産業界の皆さんとの交流の中で、長野県の抱える様々な問題を知るようになりました。中でも一番気になったのは、自分と同じ若い世代の県外流出と少子高齢化です。このままいくと働き手が不足し、長野県の主要産業である精密機器製造や機械装置製造の担い手も減少し、ますます活気が失われてしまうのではないかと危機感を覚えました。では、若い人の県外流出を防ぐにはどうしたらいいのだろう?と考えるようになったのです」と山崎さん。そして考えた末に山崎さんが出した答えは「魅力ある仕事を増やすこと」でした。「やりがいのある仕事、最先端の面白い仕事があれば、地元に残る若者も増えるでしょうし、県外から移住してくる人も増えるはず。そればかりか、トヨタ自動車の本社がある豊田市に関連企業が数多く誕生したように、魅力ある企業はその土地に企業城下町を形成し、膨大な数の雇用を生むものです。僕は長野の地に、豊田市のような企業城下町を創りたい、そう願っています。長野にはすでにセイコーエプソンやミマキエンジニアリングなど優れた企業が多数あります。既存企業と協調して事業を行えば、決して不可能ではありません」。

 

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5. 【アイディアの原点は、製造装置の動作監視・遠隔操作システム】

 最初に山崎さんが目をつけたのは、メーカの多くが製造装置に関して抱えている問題でした。「メーカの多くは商品製造のために、高額な製造装置を購入しています。しかし人件費や稼働時間の制約があって、その装置を十分に活用しきれていないのが現状です。例えば、夜間に稼働できれば電気代を節約できますが、夜間に十分な人手を確保するのが難しくて稼働できなかったり…という悩みを抱えるメーカさんは多いものです。せっかくの高額な装置も十分活用できないと、購入コストの回収が遅れ、経営全体にも良い影響を与えません。そこで考えたのがインターネットを利用して製造装置の動作監視や遠隔操作を行い、夜間や休日の稼働率向上・保守管理の高度化を実現するサービスでした」と山崎さん。「装置そのものを製造する機械メーカと提携して、このサービスを装置とセットで導入することをメーカに提案、利用台数に応じて料金をいただくビジネスモデルを考えたのです」。山崎さんはこのビジネスモデルを携えて、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主催する「起業家万博」への出場も果たしました。「将来的には遠隔操作のシステムを活用して、個人ユーザが自分の好きなデザインをネット上でメーカにオーダーできる仕組みを作り、ユーザとメーカとの距離を縮め、一般の人にもものづくりに興味をもってもらいたいと考えていました」と山崎さん。

 

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6. 【IoTビジネスの実証実験環境を提供】

 しかし、当初のビジネスモデル実現のために、自治体の担当者や機器メーカ、そして起業家万博出場を通じて知り合った起業家仲間の話を聞くうち、多くの企業がIoT関連事業に大きな関心を寄せていることを実感したという山崎さん。そこで、当初のビジネスモデルを一部軌道修正し、IoTを切り札にビジネスモデルの再検討を始めました。
「IoT関連機器メーカは、どうしたら自社の機器やシステムを利用してもらえるようになるのかわからないという悩みを、一方でIT関連の事業者はIoTを利用した事業を検討したいが環境整備がなかなかできないという悩みを抱えていることがわかりました。IoTへの関心は高いものの、具体的にどうやって事業化すればいいのかわからないという声が多かったのです」と山崎さん。そこで山崎さんが考えたのが、IoTビジネスの実証実験環境を提供することでした。「IoTシステム導入のための社内設置機器(通信モジュール搭載機器・センサ、ゲートウェイ)やWAN回線、データ送受信サーバをフォーケルと機器メーカで用意してIoTビジネスの実証実験環境を整備し、IT関連事業者に提供します。自前で実証実験環境を用意しなくてよくなるので、IT関連事業者はより優れたアプリの開発に専念できるというわけです。一方の機器メーカは、自社製品がIoTに利用されることによって機器の需要が上がるわけですから、まさに双方にとってwin-winのビジネスモデルだと言うことができます」。

 

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7. 【Interop 出展を機に新たなステージへ】

 山崎さんがIoT分野のビジネスへ方向転換をした理由はもう1つあります。それはフォーケルの本拠地である長野県が、IoTの実証実験を行うための環境として非常に優れているということ。「まだ日本のIoTは、個々の機器を遠隔操作する程度の活用にとどまっていますが、フォーケルでは複数のIoT機器のデータを収集・情報公開し、IoT機器間の連携をするサーバを提供する予定です。機器同士の連携を実現するには、ある特定の場所に集中してIoTを導入する必要があります。その点、機械製造業、農業、観光業などIoTと相性が良く活用の可能性の高い多種多様な現場が存在する長野県は、IoTの事業環境を整備するのに最適な場所だということができます」と山崎さん。「実際、2015年の6月にNICTの支援で展示会(Interop)に出展させていただいた際に、長野県におけるIoTビジネスの実証実験環境の整備について展示しました。すると、その資料が回りまわって地元・長野の金融機関の方の目に留まり、その結果、思わぬチャンスをつかむことができました」。

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8. 【機械学習と連携する事業分野への参入も視野に】

フォーケルがつかんだチャンスとは、長野県の自治体や金融機関が進めるICTクラスター集積プロジェクトに参画できるようになったこと。フォーケルではこのプロジェクトで整備される予定の無線回線やゲートウェイなどの通信インフラを使って、IoT機器のデータを収集・情報公開し、機器間の連携をするサーバを提供する計画で、現在準備を進めています。「詳しくはまだ申し上げられませんが、ソーシャルマシンと呼ばれる、機械用のSNSで、機械がSNSのユーザのように振る舞う構想を、このインフラ上で実現したいと考えています。さらにこのソーシャルマシン上で、デジタルサイネージを利用した地元のイベント情報を発信するサービスを提供できるといいなと考えています」と山崎さん。「将来的には、IoT機器を通じて収集した大量の学習用データを有効活用できるような、機械学習と連携する事業分野への参入にも繋げていきたいと考えています。そしていつか、このビジネスが起爆剤となって、長野がIoTやAI産業の集積地となることを夢見ています」。
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9. 【事業パートナを募集中】

 現在、フォーケルではIoT実証実験に関心のある機器メーカやサーバ運用業者、IT事業者を募集中。「もちろんIoTシステムを導入したい企業や農業法人等も募集しています。今はまだ下の図でいうと、第1ステップに入ったところですが、早く第2ステップの「利用期」へ進み、長野でIoTを活用した新規創業や企業誘致を促進していきたいと思います」と山崎さん。「そして将来的には、起業家万博で発表した起業当初のビジネスモデル(デザインを介してユーザとメーカを繋ぐシステムの開発)にも、IoT技術を応用して挑戦したいと考えています。僕自身がまだ発展途上で、まだまだ勉強しなくてはいけないことが山積みですが、エプソンを創業した方々が子どもの頃の僕に夢を与えてくれたように、僕もいつか長野の子どもたちに夢を与えられる存在になれるよう、引き続き頑張っていきます。IoTビジネスに興味のある機器メーカ様、IT事業者様からのお問い合わせは大歓迎です。どうぞお気軽にご連絡をください」。

無限ともいえる大きな可能性を秘めるIoT。フォーケルの作り出す実証実験環境から、いったいどんなIoT事業が生まれるのか、そしてそれがどのように発展していくのか、今後の展開に期待が高まっています。

 

 
 

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◆ 平成26年度 起業家万博  (情報通信ベンチャー・ビジネスプラン発表会)
   開催報告  http://www.venture.nict.go.jp/unpaku2014/report
プレゼン映像  http://www.nict.go.jp/video/banpaku-2014-07.html
 

 
企業プロフィール
 

 
フォーケル株式会社

 
概要

 
2014年創業

 
経営理念
"ものづくりの未来を日本から世界へ

 
主な業務内容
IoTビジネスの実験環境提供サービス

 
ミッション
メーカーと共にサービスを作る
 

 
窓口・情報
 

 
URL: http://fookell.com/
 

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