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株式会社 GOCCO.  代表取締役 木村 亮介 氏  <平成26年度 起業家万博 発表企業>

教育分野でのICT活用を推進!未来のイノベーターを育てよう

 

1. 初めに
2. 【ICT×デザイン=何かおもしろいことをしよう!】
3. 【世界放浪の旅で見えてきた日本の問題】
4. 【IAMASでの出会い】
5. 【独自の技術で、大企業とコラボ】
6. 【地方の強みを活かす】
7. 【中学生と一緒にアプリを開発】
8. 【未来の街をつくろう!「ミニフューチャーシティー」を開催】
9. 【教育事業でのビジネスモデル確立を目指す】
   企業プロフィール

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1. 初めに

  インターネットの成長に伴い、私たちのライフスタイルは変化を続けています。現在、小学生たちが大人になった時に就く仕事のうち、6割はまだ存在していない仕事になるとも言われています。国内でも授業でのタブレット端末の活用や、プログラミング講座の実施など新しい取り組みを進める学校も出てきました。しかし、学校間・地域間での格差も大きく、全体的なレベルでの底上げが必要になってきています。この問題への挑戦として、教育へのICT活用推進事業に取り組んでいるのが、株式会社GOCCO.です。今回は同社代表取締役の木村亮介さんに事業にかける想いと今後の展望を聞きました。
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2. 【ICT×デザイン=何かおもしろいことをしよう!】

  木村さんがGOCCO.を立ち上げたのは、2009年。当時、木村さんは岐阜県大垣市にある情報科学芸術大学院大学(通称:IAMAS)に在学中でした。創業当時からの主力事業はデジタル領域における「ものづくり」。紙をスマホやiPadにかざすと音が流れ出す仕掛けの広告や、スマホを搭載した風船を上空3万メートルの高さまで飛ばすプロジェクトなど、他にはないユニークな事業を次々と展開してきました。「単にアプリやシステムを開発するだけではなく、それらを活用して何かおもしろいことをしよう!というのがGOCCO.のコンセプト。昔ながらの工業技術や印刷技術とデジタルとを融合させ、新しくデザインすることによって、ICTの可能性をもっと広げていきたいと考えています」と木村さん。大学では教育学を専攻し、教員免許も取得したという木村さんが起業家の道を歩み始めたきっかけ、それは20代で経験した世界放浪の旅だったそうです。

 

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3. 【世界放浪の旅で見えてきた日本の問題】

 木村さんは1979年、名古屋市生まれ。教育大学を卒業するも教育の道には進まず、大手印刷会社に就職。約3年間勤務した後、26歳で会社を辞め、かねてからの念願だった世界放浪の旅に出ました。「約2年かけて世界中を旅したのですが、一番の収穫は、いろいろな価値観に触れることができたこと。そして外から日本を見ることによって、先進国である日本にもさまざまな問題があることに気づけたことです。例えば子どもの教育にしても、小中学校のうちからICT教育に力を入れていて、将来の社会ニーズに応えられる人材の養成に取り組んでいる国がたくさんあるのに対して、日本ではいまだに偏差値主義で大学受験をゴールにしたかのような教育が行われています。このまま放置していると、日本の国際競争力はどんどん低下してしまう…、そんな危機感を抱きながら、帰国。帰国後はICT関連の仕事をしながら、自分のすべきことをみつけようと決意、まずは最先端のICTを学ぶことができる情報科学芸術大学院大学(IAMAS)に進むことにしました」。    
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4. 【IAMASでの出会い】

 IAMASは、「芸術と科学の融合」を理念に2001年、岐阜県大垣市に開学した岐阜県立の大学院です。1学年の学生数はわずか20名。一専攻一研究科のユニークな体制で、ICTや芸術分野での人材養成を行っています。
「IAMASの魅力は何といっても、人です。ICTやデザイン、芸術など各分野の最前線で活躍する研究者が教授として直接指導してくれましたし、同級生にもおもしろい人が多くて、いろいろな刺激を受けました。そんな中、赤松正行教授の「iPhoneプロジェクト」に参加し始めたのが大きな転機でもありました。当時は9割の人がガラケーを使っている時代でしたが、赤松先生の下で学びながらアプリの可能性に開眼。その可能性にかけてみようと思い、仲間と一緒にGOCCO.を立ち上げたのです」。木村さんたちが創業時に決めた会社のコンセプトは“楽しさぞくぞく開発中。”「アプリ開発というと、ゲームアプリの開発を想像するかもしれませんが、人材の数や開発スピードを考えると僕らに勝ち目がないことは明白でした。もっと別の方向でアプリを使った面白いサービスを生み出すことを目指したのです」。

 

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5. 【独自の技術で、大企業とコラボ】

 創業後、まずGOCCO.が注目を集めたのはPITシステムの開発です。PITシステムとは「導電インク」という特殊なインクを使った、紙とスマホを連動させる独自開発の画期的なシステム(特許取得)。特殊印刷を施した紙をスマホやタブレット等にかざすだけでコンテンツを表示させたり、音楽を流したりすることができます。ICチップの埋め込みなどが不要なため、導入コストが低く抑えられるのが特徴で、2013年には大手メーカーの広告キャンペーンに採用されたものが、カンヌライオンでブロンズを獲得するなど話題を呼びました。
また、LEDライトとスマホを連動させる「LITシステム」の開発、アクションカメラを搭載した風船を地上3万メートルの成層圏まで飛ばして上空を撮影するスペースバルーンプロジェクトなど、独自の“楽しさぞくぞく開発”の実績を重ねていきます。クライアントの多くは首都圏ですが、GOCCO.は本社を大垣から移す予定はないといいます。

 

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スペースバルーンプロジェクト

 

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6. 【地方の強みを活かす】

 「IAMASの存在が大きいと思うのですが、大垣には面白い人材が全国から集まってくるんですよ。その人たちとの交流も面白いし、大垣は街自体に余白というか、ゆるいところがあって居心地がいいんです。また、家賃などの経費が抑えられるので、起業にも向いています。例えばGOCCO.では、クリエイティブスタジオとして大垣駅の近くの商店街に4階建てのビルを丸ごと1棟借りているのですが、家賃は東京では考えられない安さです。しかも近所の人が何かと声をかけてくれて、近所のお店の人がオフィスに『みんなで食べなさい』って差し入れを持ってきてくれたり、『駐禁切符を切られるから車を動かした方がいいよ』とかわざわざ言いに来てくれるんですよ。何気ない交流ですが、応援してもらっているようで嬉しいですね」。
木村さんは、人材の成長にも地方は有利だと感じています。「逆説的ですが、人材の数が限られる地方だからこそ、人材が育つスピードが速いような気がします。とにかく人手がないので、全員が自分の専門に限らず、いろいろなことをする必要にかられるんですよね。すると、みんなが必然的に専門外のこともできるようになって、そこで得た経験や知識を自分の専門に活かすこともできるようになります。GOCCO.のメンバーは、その繰り返しで成長することができています」。大垣市の本社で働くGOCCO.のメンバーは、現在11人。木村さん含め全員が大垣市以外の出身だそうです。

 

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GOCCO.クリエイティブスタジオ(大垣市)

 

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7. 【中学生と一緒にアプリを開発】

  こういった事業と並行して、GOCCO.では教育分野へのICT活用推進活動にも取り組んでいます。「ICTの領域で事業をすればするほど、人材育成の必要性をますます強く感じるようになってきました。インターネットが成長し、IoTの波も加速しているのに、次の時代をつくるための人材の育成環境が追いついていません。2013年に行われたある調査*1では、『生徒が課題や学級の活動にICTを用いる指導を頻繁に行っている中学校教員の割合』が、日本は34の調査参加国・地域の中で最下位。つまり授業へのICT活用が世界的に見ても遅れているんですよね」。
木村さんの提案が続きます。「私自身、教職課程を経験しているのでよくわかるのですが、学校の先生というものは本当に忙しく、授業だけではなく様々な業務が複合的に存在する中、部活指導等もあり、深夜帰宅、早朝出勤、休日出勤が当たり前にあります。新たに専門外のICTを学んで授業に取り入れることはなかなか容易ではありません。そこで、閃いたのが出前授業です。僕たちが学校に出向いてICT教室を開き、希望する生徒に教えるスタイルにすれば、学校側にあまり負担をかけずにICT教育に挑戦してもらうことができるようになるのではないかと考えたのです」。

 GOCCO.が最初に取り組んだのは、岐阜県のある私立中学での「ITものづくり教室」。中学二年生を対象に「一緒にアプリをつくろう」とプレゼンテーションして参加者を募り、厳選された有志在学生12名とともになんと企画づくりから始めたそうです。「毎週水曜日の放課後に教室に集まるというスタイルでスタート。学校見学会が次の月に予定されていたので、そのとき来学する未来の後輩たちに向けて、学校の魅力を楽しく知ってもらうアプリをつくるために、みんなでアイデアを出し合ってもらい一致団結。生徒たち12名はチームに分かれ、アプリづくりだけではなく様々な仕掛けや必要となるプロダクトづくりもお互いに分担するなどして協力。6週間後の学校見学会当日には無事完成し、その結果大変な好評を得ることができました。アプリ開発は決して一部の専門家だけのものではなく、子どもたちだって自分たちの発想次第でいくらでも可能性を広げることができ、おもしろいものをつくることができるんだってことを体験として理解してもらえたのではないかと思います」。
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中学生に講義をする木村さん

 

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8. 【未来の街をつくろう!「ミニフューチャーシティー」を開催】

 2015年の夏には、大阪市で行われたイベント「ミニフューチャーシティー」を、京都大学総合博物館の塩瀬隆之准教授を中心としたメンバーで共同企画。全国から集まった60名の子どもたちと2日間にわたって、「未来の街」を作るプロジェクトが進行しました。ミニフューチャーシティーとは、子どもたちのみで運営される架空の街であり、参加者である子どもたちは、街の中に会社や店舗を自分たちで考え、つくり、運営します。その中で、働くとはどういうことか、あるいは自分はどんな働き方をしたいのか、働くことの意義はどこにあるのか、というようなことを直感的に学び取ってもらおうというのが目的です。参加する子どもたちはこの街の住人として、GOCCO.が開発した専用のアプリがインストールされたiPadと、「LITシステム」の技術を使った「お金」の代わりとなる「LITコイン」を駆使することを覚えてもらいます。「お金」のやり取りは全て電子化、売り上げもリアルタイムで集計し、どの会社や店にどれくらい売り上げがあるのかがわかるシステムになっていて、街の運営、発展に携わります。「GOCCO.は当日、システムのサポート全般を担当しましたが、実に面白い経験でした。子どもたちは、短時間でシステムを理解して使いこなしただけでなく、中にはシステムの不備を指摘したり、思いもよらない使い方をして僕たち大人を驚かした子どももいました。頭の柔らかい子どもたちと接することで、僕たちもICTの新しい可能性に気づかされたり、ヒントをもらったり…と、得たものは非常に大きかったですね」と木村さん。

 

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ミニフューチャーシティーの様子

 

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9. 【教育事業でのビジネスモデル確立を目指す】

  GOCCO.では、以上のような取り組みにおいて、今後は収益性を確保しながら事業として確立することを目指しています。
「こういった活動を全国に拡大し継続していくためには、ある程度の収益モデルをつくる必要があります。2020年には1,160億円にも上るとも予想されている教育ICT機器市場への参入と、子どもたちのICTとの出会いのサポートを両立するのが目下の目標です」。と木村さん。「まず僕らは未来を想像し、今の子どもたちに必要な力を手助けするべきだということ。それを基軸に、きちんと考えデザインされたICT活用パッケージを開発し、教材として展開していくことを考えています。私立学校や塾をはじめ教育機関への出前授業を提供するモデル、商業施設等での興行収入などイベントとしての企画運営費を確保するモデルを展開として考えています。現在は、ミニフューチャーシティーの展開推進、またICTロボット教室、スペースバルーンプロジェクト・ミニを絶賛企画中です。その後のステップとしては、蓄積した事例とノウハウをICT活用事例のプラットフォームとして全国の教員のみなさんで共有できるものに発展させ、さらにそれぞれの教育機関で活用できるような仕組みづくりを目標としています。1人でも多くの子どもたちが自分自身の可能性を見出すことができる教育を促進するために、そして将来、世界で活躍するイノベーターを日本から輩出するために、僕らと一緒に“楽しさぞくぞく”なICT活用教材の開発もしくは展開に取り組んでいただける企業や仲間を募集しています。興味をもっていただけたら、ぜひ声をかけてください」。

 木村さんいわく、出前講座やイベントで参加している子どもたちのICT機器操作などを見ていると、これからの世界が全く違うものになっていくことさえ感じられてワクワクするそうです。
「これからは、僕らの知っているICT機器の活用方法さえ、古いものになっていくのかもしれませんね。プロジェクトではいつも「チーム」として考えることの大切さや可能性の大きさを子どもたちに話すようにしています。全員が同じようなプログラマやエンジニアの役割をする必要はありませんよと。デザインやイラストなどが得意なら、いろんな方法でアイデアを具現化する役割を分担したり、話すことが好きなら、完成したものを楽しく体験してもらうために工夫をする役割や、みんなに面白さを伝える方法を考える役割を分担して協力し合えばいいんですよと。そもそも面白いコンテンツやアイデアというものは、アプリの開発であってもプログラミングとはまったく別軸の発想から生まれることもしばしばです。プロジェクトに参画すると、自分はどんなことが得意なのか、どんなことに興味があるのかが見えてくるんです。そして、お互いの違いを認めて協力し合い、みんながチームになって取り組めば、一見難しそうにみえる課題も意外とクリアできてしまうものなんだっていう発見をしてくれると、嬉しいですよね」。

 まだ始まったばかりの、GOCCO.の教育事業。今後、この事業が子どもたちにとって自分の可能性や将来の目標を見出すきっかけとなることを願ってやみません。 

 

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講座を受講した子どもたちと一緒に

 

出展:*1 経済協力開発機構 (OECD) 国際教員指導環境調査(TALIS2013)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2014/06/30/1349189_2.pdf (p.2) (文部科学省サイトより)

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◆ 平成26年度 起業家万博  (情報通信ベンチャー・ビジネスプラン発表会)
   開催報告  http://www.venture.nict.go.jp/unpaku2014/report
プレゼン映像  http://www.nict.go.jp/video/banpaku-2014-02.html
 

 
企業プロフィール
 

 
株式会社 GOCCO.

 
概要

 
2009年創業
 
コンセプト「楽しさぞくぞく開発中。」

 
主な業務内容
・デザイン
・IOS/スマートフォンアプリケーションの開発/UI設計
・WEB開発/UI設計
・アプリケーション開発/WEBサービス連動デバイスの開発
 

 
窓口・情報
 

 
URL:http://www.gocco.co.jp/
 

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