トップ > 連載・コラム > 注目のベンチャー紹介 > トビラシステムズ株式会社  代...

next pre up

トビラシステムズ株式会社  代表取締役  明田 篤 氏 〜平成23年度情報通信ベンチャービジネスプラン発表会 発表企業〜

124x149px 明田氏 2012-06-08 15.08.57

<氏名> 明田 篤 氏
<社名> トビラシステムズ株式会社
<役職> 代表取締役
<設立> 2006年12月
<資本金> 3,000万円
<URL> http://tobila.jp/

 トビラシステムズ株式会社は悪質な迷惑電話(振り込め詐欺等)・営業電話(勧誘電話・セールス電話)からお客様の安全と大切な財産・時間を守る「トビラフォン」を提供しています。
 当社はITをもっと身近にして、より良い未来へのトビラを目指す企業です。

1.初めに

124x169px 明田氏 2012-06-08 15.08.57

第14回(平成23年度)NICT情報通信ベンチャービジネスプラン発表会で発表された迷惑電話を自動で着信拒否するソーシャルフィルタリングシステム、「トビラフォン」を開発する、トビラシステムズ株式会社、代表取締役 明田 篤さんにお話しをお聞きしました。世界中の人々に役立つための、独自の「モノ作り」を通して、迷惑電話や振り込め詐欺などの社会問題の解決を目指しています。

2.【ソーシャル迷惑電話フィルタ“トビラフォン”に込めた思い】

(聞き手)注目の商品、「トビラフォン」ですが、手のひらにすっぽり入るサイズで、思ったより小さいモノなのですね。この小さなハードに込められた思いからお伺いしたいと思います。

(明田氏)祖父が地デジ営業の電話勧誘で被害に遭い、日本が抱える長年の社会問題である迷惑電話を何とか解決しようと思ったのが開発のきっかけです。オレオレ詐欺や迷惑電話の被害・相談件数は、年間8万件近くあり、被害額は300億円以上になり現在も犯罪は続いています。相手が巧みな話術と手段を用いるプロ集団であれば、いくら警察や銀行が注意喚起や対策を取っても、個人の力だけで犯罪を防ぐのには限度があります。一方で、企業の場合は電話番号を公開しないわけにはいきません。個人商店などにとっては、ひっきりなしにかかってくる電話勧誘販売は営業妨害にもなります。これを解決する最善の方法は、「迷惑電話を取らない事」です。そこで迷惑電話を自動で判別して拒否するシステムを作ればよいと考えました。それを実現する為には、分かりやすいモノを作る事が重要だと考えました。

3.【リベンジで出場を果たしたビジネスプラン発表会】

(聞き手)今回のビジネスプラン発表会に挑戦されたきっかけについて教えてください。

(明田氏)弊社の開発拠点が、岐阜県大垣市のソフトピアジャパン内にあるインキュベートオフィスにありますが、そこで今回の発表会への推薦のお声掛け頂いたのがきっかけです。今回の発表会の前に、実は大垣市で地域選抜発表会がありましたが、そこでは、残念ながら落選しましたが、一般募集枠で再度チャレンジして、選ばれ、今回の発表の機会を頂きました。

(聞き手)再チャレンジだった訳ですね。地域枠と一般募集枠の発表では、何が違ったのでしょうか?

(明田氏)発表のタイミングで「トビラフォン」の改良をしていたので、そこを伝え、今後の展開・方針などロードマップを明確にして、ターゲットを絞り、アピールの手法を大きく変えてプレゼンした事が功を奏したようです。発表の機会は、自分を成長させられる、とても良い勉強の機会となっています。

(聞き手)同じ製品・コンセプトでも、プレゼンの仕方で審査員の皆さんへの伝わり方も大きく変わるのですね。

182x162px インタビュー風景 2012-06-08 14.28.27

4.【迷いながら見つけた、目指す道】

(聞き手)起業への思いについてお聞かせいただけますか?

(明田氏)祖父が左官職人で会社を経営していたので、子供の頃から漠然とですが、自分も起業したいと考えていました。また父親が車の整備士で、アマチュア無線家だった事もあり、その影響もあって、私は小学6年生でアマチュア無線の免許を取りました。子供の頃から、機械が好きでラジオを作ったりしていましたが、今日のハード作りにつながっているのかもしれません。

(聞き手)起業はいつ頃、どのような経緯でなさったのでしょうか?

(明田氏)今年32歳ですが、創業は23歳のときでした。起業するまでは紆余曲折がありました。中学生の頃からPCにはとても興味があって、NECの98ノートを両親に買ってもらってウィンドウズ3.1の世代から、自分で、Basicでプログラムを学んでいました。しかし大学に入り、大好きな音楽の世界にのめりこみました。その為、名城大学理工学部を中退し、インディーズデビューもしました。その頃は「かっこよさ」に憧れて、長髪姿にして、メンバー3人で一緒に暮らしてメジャーを夢見ていました(笑)。ただ、生活するのが難しく、活動は断念しましたが、レコーディングやミキシング、ホームページをコンピュータで手掛けているうちに本当に自分の才能を発揮できる分野を見つけました。その頃から、将来起業するなら、コンピュータ関連の仕事しかないと考えるようになりました。

バンドを辞めた20歳の頃は、仕事を探す為にハローワークに行って、IT系企業10社ほど就職活動をしました。最初の仕事は名古屋のシステム開発会社にアルバイトで入社。当時は人の3倍の努力をして技術を学び本格的に仕事を始めました。それから約1年後、当時勤めていた会社の経営が傾き、別のシステム会社で正社員として仕事を開始しました。その頃は、片っ端から書籍を読みあさり、中古マシンを買って自宅で技術を習得していき、NTTと直接契約できる技術者として、直接交渉し、独立が出来るまでになりました。その後、NTTからの仕事で、岐阜県のeGovernmentプロジェクトへ参入。この仕事を通して、スキルを得られただけでなく、社会人として必要な素養も身につけられ、良い人脈、継続的な仕事を構築できる事につながり、今もご縁が続いているお客様から信頼を得られた事はとても大きなステップとなりました。

その後2006年に大垣市で起業、株式会社エーアンドエーテクノロジアを設立しました。現在のトビラシステムズには、2010年に「すべての人とITをつなぐトビラでありたい」との思いから、社名変更しました。

180x70px トビラシステムズ ロゴ

トビラシステムズ ロゴ

5.【迷惑電話を無くし、日本に貢献しよう!】

(聞き手)起業に至るまでには、大変なご苦労もあった事と思います。常に、独学でノウハウを習得され、その時々での判断・決断が早い事も印象的です。経営者として、今度は人を採用される立場になられたのですね。

(明田氏)最初は良い人材を集めるのが難しく、ハローワークに登録して、若年トライアル雇用の補助も利用しながら良い人を増やしていきました。現在では社員は21名です。拠点は、名古屋本社・岐阜県大垣のソフトピア・大阪・東京そしてアメリカシリコンバレーにもアメリカ法人を開設しています。

(聞き手)ビジネスはどのように推移したのでしょうか?

(明田氏)受託開発の受注が好調で人員を増やしていました。ところがリーマンショックで顧客である不動産や旅行業界からの仕事が激減し、受託開発の業態に不安を感じるようになりました。新たに商品開発して、自社の「モノ」を多くの人に使って頂けるビジネスモデルの重要性を感じました。そこでこれまでの経験を活かし、CTI顧客管理システム*やサーバーネットワーク監視システムを自社製品として一つ目に開発しました。これは売切りのソフトだったので、毎月、売上が入る製品を作りたいと考え、次にホームページ製作ソフト(CMS)を作りました。「トビラフォン」は4つ目の自社製品です。

(聞き手)ビジネスモデルを変えて、順調に製品を生み出しているのですね。ところでアメリカにもオフィスがあるのですね!

(明田氏)中学の頃に交換留学した事がきっかけで、いつかアメリカで仕事がしたいと思うようになりしました。人生で2回目にシリコンバレーを訪れた時、ある起業家に出会いました。シリコンバレーでは、いくら稼ぐかではなく自分が世界に何を残すか、どんな価値を作れるか、社会に影響を与えられるか、そういう次元で事業を興すヒトがたくさんいて、その文化に強い衝撃を受けました。その方との出会いで、自分の考え方や人生観も大きく変わりましたが、「自分は迷惑電話を無くし日本に貢献しよう!」と、決意しました。

245x174px 名古屋事業所 nagoya_office03

245x174px 大垣事業所 ogaki_office01

6.【アイデアとPCから生まれた“トビラフォン”の特徴】

(聞き手)トビラフォンのビジネスモデルと特徴を聞かせていただけますか?

(明田氏)ビジネスモデルは2つあります。1つは月額レンタル利用料315円による継続的収益モデルです。普及を第一に考えて、初期費用はゼロで1日10円という金額に設定しました。もう1つですが、現在は自社で製造し販売していますが、迷惑業者のデータベースを携帯キャリア・電話機メーカーへ提供し普及させる収益モデルを考えています。
(聞き手)かかってきた電話を、良い・悪いと正しく判断するのは、どのようにして実現されているのでしょうか?

(明田氏)みんなで報告して悪質な番号を共有するソーシャルフィルタリングが最大の特徴です。インターネットを通じて作成される莫大なブラックリストによって、未知の迷惑電話番号でも自動的に拒否されます。現在のデータは約2万3千件に上ります。警察によってトビラフォンを使った振り込め詐欺防止の実証実験も行っています(春日井警察署と愛知県春日井市小野区で2012年7月1日~9月30日まで)。公的な機関との連携によって、電話を使った犯罪を無くす一助になればと考えています。迷惑電話判別技術に関しては特許も出願中です。

他にも下記のような特徴があります。

1)迷惑電話番号の着信拒否登録件数、許可番号が無制限に登録可能
2)LED発光で、着信電話番号の安全度がひと目で分かる
3)ユニバーサルデザインを採用、大きいボタン表示なので操作が簡単
4)今、使用中の固定電話がそのまま使用可能
5)インターネット回線があれば、線をつなぐだけですぐに使用可能
6)PC、スマホ、携帯などWEBでの管理・データ共有も可能
7)セキュリティの確保 など

182x162px トビラフォン 2012-06-08 14.43.42

7.【世界中の人がかっこいいと思う“モノ作り”でより良い未来を実現】

(明田氏) また、特にブラックリストの信頼性を高めることに力をいれています。国民生活センターなどから公表される悪質業者リスト約1万件と、ユーザーからの電話拒否登録リストが広がることで、迷惑電話データベースの精度が上がっていきます。登録件数・頻度・期間などを複合的に解析し判断する機能があり、イタズラや誤登録の防止、安全と認められた電話番号や解約番号の復活もできます。
(聞き手)大きな資産ですね!トビラフォンを利用されるターゲットについて教えていただけますか?

(明田氏) 個人向けは、高齢者がターゲットです。トビラフォンにはメール送信機能もあるので安否確認もできます。企業向けは30人以下の事業所200万件を考えています。名前も登録可能なので顧客管理にも使えます。

(聞き手)トビラフォンを開発するにはどのくらいの時間がかかっているのですか?

(明田氏)トビラフォンの開発には訳1年かかりました。

(聞き手) ソフト作りとは一味違うハード作りは完成品が目に見えるので、出来あがったモノを見る時は、感動も大きいのではないでしょうか。PCひとつでアイデアが形になり、独自製品が生まれるのは、とても素敵なことですね。現在のサービス状況と今後の展望についてお聞かせいただけますか?

(明田氏) 受託開発から自社製品に方針転換し、一時は赤字になりましたが、2年で黒字を達成できました。これまでは、開発・販売・製品改良を繰り返してきました。現在の契約者件数は約1000件です。個人70%・法人30%です。着信件数に占める拒否件数の割合は約14%ですが、トビラフォンによって勝手に拒否されたというクレームは1件もありません。現在の夢は、安心して出られる電話を普及・実現することですが、将来はシリコンバレーで起業して世界中の人がカッコイイと感じるモノを作るのが夢です。

8.【取材後記】

起業に成功して、順調に社員も増やし、独自製品を開発し、売上を伸ばしているトビラシステムズの足跡は、明田氏が自ら道を切り開いてこられた道でもあります。常に自分の気持ちに正直に歩んで来られたその道は、明田氏ご自身の方向を見つける道だったと言えるのかもしれません。それまでに10年かかり、遠回りしたともお話されていましたが、その時間と経験があるからこそ、現在の製品があり、ビジネスの成功があるのではないかと感じます。あと5年早かったら・・・とお話される明田さんの表情からは、現状に満足することなく、常に自分の力と可能性を信じ、「モノ作り」とICTでよりよい社会・未来を作りたいと言う信念が、伝わってきました。よりよい未来を支えるアイデアや技術が生まれる瞬間を拝見する取材となりました。
*CTI顧客管理システムとは?・・・CTIとはComputer Telephony Integrationの略で電話やFaxなどを、コンピュータと統合する技術。顧客のプロフィールや対応履歴、実際の購買履歴などの顧客管理システム。

◆平成23年度情報通信ベンチャービジネスプラン発表会のリンク先
http://www.venture.nict.go.jp/event/node_3774/node_37590/node_37108/node_37431/node_37511

next pre up